副業ブログの経費はどこまで?必要経費の線引きと、家事按分・パソコン購入・減価償却(国税庁の資料から)


副業ブログの所得は「総収入金額 − 必要経費」で決まります。必要経費に何まで入れられるかで、申告する所得の金額が変わります。国税庁の資料と、A8.net の確定申告の案内(税理士が監修)をもとに、必要経費の線引き、家事按分の考え方、パソコンを買ったときの扱いを整理します。数字は、計算のしかたを示す仮の例で、国税庁が示す基準ではありません。税務上の助言でもありません。

この記事でわかること
  • 必要経費になるもの・ならないものの線引き
  • 自宅の通信費や電気代(家事関連費)の考え方
  • パソコンの購入価格ごとの扱い(10 万円未満、10 万円以上 20 万円未満、青色申告の特例)
  • 経費を入れる年(収入と経費の計上の時期)
先に結論
  • 必要経費は、事業所得だけでなく、雑所得でも計算に使います。範囲は、総収入金額に対応する売上原価や、収入を得るために直接要した費用に、その年に生じた販売費、一般管理費、その他の業務上の費用です。
  • 家事上の費用は、必要経費になりません。自宅の通信費や電気代のように、家事上と業務上の両方に関わる費用(家事関連費)は、取引の記録などに基づいて、業務の遂行上、直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られます。
  • パソコンなどは、取得価額が 10 万円未満なら、全額を、業務に使い始めた年の必要経費にします。10 万円以上は、使える期間にわたって、分けて経費にします。一括償却や、青色申告者の特例は、一定の要件を満たす場合にだけ使えます。
  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与や、地代・家賃は、必要経費になりません。青色事業専従者給与は除きます。

必要経費の範囲

国税庁は、事業所得、不動産所得、雑所得の金額を計算するうえで、必要経費に入れられるものを、次の 2 つとしています。

  • 総収入金額に対応する売上原価、そのほか総収入金額を得るために直接要した費用
  • その年に生じた販売費、一般管理費、そのほかの業務上の費用

A8.net の案内(税理士が監修)は、アフィリエイトの経費の例を、次のように挙げています。

区分例
通信費電話代、プロバイダー料金、インターネット接続料
消耗品費10 万円未満の消耗品や文房具、ホームページ作成ソフトの代金
新聞図書費ホームページ作成のための書籍、アフィリエイトの専門書籍
減価償却費10 万円以上のパソコンなど(数年かけて費用にする、その 1 年分)
水道光熱費パソコンを使うための電気代
旅費交通費ホームページ用の写真撮影の電車代、オフ会の参加の交通費
接待交際費オフ会の参加費用
雑費成果報酬の振込手数料、セミナー参加費
租税公課インボイス登録した運営者が、税込経理方式を適用する場合の、納付すべき消費税額

何が必要経費に当たるかは、事業の実態によって異なります。

家事関連費:どこまで入れられるか

家事上の費用は、必要経費になりません。ただし、個人の業務では、1 つの支出が、家事上と業務上の両方に関わる費用(家事関連費)があります。

  • 必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務の遂行上、直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額だけです。
  • A8.net の案内も、アフィリエイト業務とその他の用途に使う部分がある支出は、使用の実態に即して、必要経費に計上する割合と金額を判断するとしています。

試算の例です。割合は、記録に基づいて決めた仮の数字です。

金額
年間のプロバイダー料金60,000 円
業務に使った割合(記録に基づいて区分できた仮定)40%
必要経費にできる金額60,000 円 × 40% = 24,000 円
必要経費にならない金額(家事上の費用)36,000 円

割合の根拠になる記録(使った時間、使い方の内訳など)を、残しておくことが、区分の裏付けになります。

パソコンなどの購入:取得価額で変わる

業務に使う資産(パソコンなど)は、時間がたつと価値が減るため、減価償却資産に当たります。取得にかかった金額は、取得した年に全額が必要経費になるとは限らず、使える期間にわたって、分けて必要経費にしていくのが原則です。

取得価額扱い
使用可能期間が 1 年未満、または 10 万円未満全額を、業務に使い始めた年の必要経費にする
10 万円以上 20 万円未満一定の要件の下で、一括して、合計額の 3 分の 1 を、業務に使い始めた年以後 3 年間、各年の必要経費にできる
10 万円以上 40 万円未満(一定の要件を満たす青色申告者。平成 18 年 4 月 1 日から令和 11 年 3 月 31 日までに取得)一定の要件の下で、取得価額の合計額のうち 300 万円に達するまでを、業務に使った年の必要経費にできる特例がある。令和 8 年 3 月 31 日までに取得した場合は、10 万円以上 30 万円未満。一括償却の適用を受けるものは除く
上のどれにも当たらない法定耐用年数にわたって、減価償却する

取得価額の判定に消費税を含めるかどうかは、経理の方式によります。税込経理なら税込の金額で、税抜経理なら税抜の金額で判定します。免税事業者は税込経理です。

試算の例です。免税事業者として、税込の金額で判定します。

例 1例 2
購入価格(税込)98,000 円165,000 円
区分10 万円未満10 万円以上 20 万円未満
必要経費の入れ方全額を、その年に 98,000 円一括償却なら、165,000 円 ÷ 3 = 55,000 円を、3 年間、各年に(合計 165,000 円)。青色申告の特例を使える場合は、その年に全額

減価償却の方法は、業務を新たに始めたときは、その翌年の 3 月 15 日までに、償却方法の選定を所轄の税務署長に届け出ます。届出がない場合は、法定の償却方法(一般的には定額法)で計算します。

経費にならないもの

  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う、地代・家賃は、必要経費になりません。受け取った人も、所得としては考えません。
  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う、給与・賃金も、必要経費になりません。青色事業専従者給与は除きます。
  • 所得税と住民税は、必要経費になりません。
  • 罰金、科料、過料などは必要経費になりません。
  • 業務のための借入金の利息は、必要経費になります。

いつの年の経費・収入になるか

必要経費になる金額は、その年において債務の確定した金額です。次の 3 つの要件を、すべて満たす場合をいいます。

  1. その年の 12 月 31 日までに、債務が成立している。
  2. その年の 12 月 31 日までに、その債務に基づいて、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している。
  3. その年の 12 月 31 日までに、金額が合理的に算定できる。

その年に支払っていても、債務が確定していないものはその年の必要経費になりません。逆に、まだ支払っていなくても、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。減価償却費のように、債務の確定によらない費用もあります。

収入は、その年において収入すべき権利が確定した金額です。実際に受け取ったかどうかは関係ありません。たとえば、12 月 20 日に確定した成果報酬を、翌年の 1 月 10 日に受け取った場合は、確定した年の収入です。A8.net の案内も、収入を、前年 1 月 1 日から 12 月 31 日までの、確定した成果報酬としています。

青色申告者や、雑所得を生ずべき業務を行う人で、一定の条件に当てはまる小規模事業者などは、収入と費用の計上時期を、現金の出し入れを基準にする「現金主義」を、選択できます。雑所得の場合は、前々年分の収入金額が 300 万円以下であることなどの条件があり、確定申告書に、この特例を受ける旨を書く必要があります。

手続き・判断の前に確認すること

  • 自宅の通信費や電気代を経費に入れるときは、業務に使った部分を、記録で区分できるか。国税庁の「必要経費の知識(コード 2210)」で確認します。
  • パソコンなどの購入価格が、10 万円未満か、10 万円以上か。取得価額の判定が、税込か税抜かは、消費税の経理方式で決まります。国税庁の「減価償却のあらまし(コード 2100)」で確認します。
  • 配偶者や親族への支払いを、経費に入れていないか。
  • 個別の判断は、税務署や税理士に相談します。

次にやること

以下は、公式の資料と試算を踏まえた想定です。

  • ブログのために払った費用を、日付・金額・内容つきで毎月記録する。
  • 自宅の通信費や電気代は、業務に使った時間など、按分の根拠になる記録を残す。
  • 10 万円以上の機器を買う前に、取得価額と、一括償却や青色申告の特例の要件を確認する。

関連:経費を引いた後の所得で、申告の区分や青色申告の控除がどう変わるかは、副業ブログは雑所得か事業所得かで整理しています。

出典

内容は確認日時点のものです。最新の情報は、出典の公式ページで確認してください。

本記事は、複数の公的資料の内容を整理し、試算や表は私が作ったものです。私が実際に使った感想ではありません。アフィリエイトリンクは含みません。 確認日: 2026-10-31 / 出典: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2200.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm、https://www.a8.net/compliance/final-tax-return.php